映画監督の大林宣彦さん死去 時をかける少女・転校生

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「時をかける少女」「転校生」など、叙情性と遊び心を併せ持つ作品を撮り続け、「映像の魔術師」と称された映画監督の大林宣彦さんが4月10日午後7時23分、肺がんのため、東京都世田谷区の自宅で死去した。82歳だった。葬儀は近親者で営み、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻でプロデューサーの恭子さん。  広島県尾道市生まれ。学生時代から実験映画を自主制作し、画家の藤野一友さんと作った16ミリ第1作「喰べた人」が63年、ベルギー国際実験映画祭で特別賞を受けた。82年、中学生の男女の心が入れ替わる「転校生」を発表。翌83年にも、原田知世さんの映画デビュー作「時をかける少女」を尾道などで撮影。この2本と「さびしんぼう」は「尾道3部作」と呼ばれ、多くのファンが尾道を訪れる契機となった。  以後「姉妹坂」「漂流教室」といった娯楽大作から福永武彦原作の「廃市」のような芸術色の強い作品まで、幅広い映画を精力的に発表。3部作の後も「ふたり」など多くの作品を尾道で撮った。尾道以外にも小樽や長野、臼杵(大分)といった地方都市の風景を魅力的に切り取り、地域興し映画の流行を生んだ。  2012年に公開された「この空の花 長岡花火物語」は太平洋戦争下の空襲と中越地震、東日本大震災を、フィクションとドキュメンタリーをないまぜにして描いた実験作。最後の作品となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」までの晩年の4作は、「絶対的な戦争反対」をモチーフに、全く新しい映画のスタイルを生み出し、「映像の魔術師」の真骨頂を見せた。

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