新紙幣のデザイン発表 1万円札に渋沢栄一

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政府は4月9日、1万円、5千円、千円の紙幣のデザインを全面的に刷新すると発表しました。新たな肖像画に使われるのは、3人とも東京ゆかりの人物です。  1万円札には「近代日本経済の父」と呼ばれた実業家の渋沢栄一、5千円札には日本初の女子留学生である教育家の津田梅子、千円札には近代医療の先駆者である医学者の北里柴三郎の肖像画を採用しました。新しい紙幣の決定に、東京都の小池知事は「素晴らしい人選。それぞれストーリーがあって感動するものがある。(3人とも)東京ゆかりの人物で、とてもうれしい。楽しみにしている」と語りました。  今回、用いられた人物は全て「東京」と深い縁があります。北里柴三郎は港区白金で長年にわたって医学を研究し、津田梅子は小平市と渋谷区にある津田塾大学を創設しました。そして、渋沢栄一は北区にあった王子製紙の設立に深く関わったほか、現在のみずほ銀行など数多くの企業を創立しました。北区にある渋沢史料館は、渋沢が住んでいた旧邸宅跡に建てられたもので、生前に携わった事業に関する資料などが並んでいて、紙幣に使われた肖像画の基になった写真も展示されています。偉大な功績を残しつつ1931年に死去してから88年にして、吉報は突然やってきました。史料館によりますと、4月7日、財務省の担当者が紙幣に肖像画を使うことを報告しに来たといいます。  一方、千円札の北里柴三郎に関する展示をしている、港区の北里柴三郎記念館の職員も「名誉であり誇り。北里研究所の一員としてこの上ない喜び。北里の偉業に思いをはせる機会になれば非常にうれしい」と話します。千円札の肖像画は、黄熱病の研究で有名な野口英世から北里柴三郎に変わります。この2人には深い縁があり、「かなり密な師弟関係だった」ということです。当時、若手の研究者だった野口英世はアメリカ留学前の2年8カ月にわたって、北里柴三郎の研究室に門下生として通っていました。いわば、千円札を通じて「弟子から師匠へとバトンがつながれた」のです。記念館の職員は「野口英世は研究した論文の別刷りを、北里に毎回送っていた。論文を投稿するたび、北里先生に『いまこんな研究をしています』と報告していた」と資料を説明しました。  東京ゆかりの3人が起用された新しい紙幣は、裏面にも「東京の顔」が描かれることになりました。1万円札の裏面には、東京の玄関口として多くの人に使われているほか、近年は東京マラソンのフィニッシュ地点として世界中に映像が発信されている、東京駅丸の内駅舎が採用されました。  東京、そして日本をアピールする新しい紙幣は2024年度に発行される予定です。

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