【高校地理】3-4. 海流と気候(海岸砂漠、エルニーニョ現象など) | 3. 世界の気候

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#地理 #気候 #海流 #地理B #高校地理 #エルニーニョ現象 はい、皆さんこんにちは。 高校地理の授業動画、「世界の気候」第4回は「海流と気候」です。 「海流と気候にはどんな関係があるの?」 ということで、今回の動画は大きく4つのパートに分かれます。 1. 海流のしくみ 2. 海流と気候  (1)西岸気候・東岸気候  (2)海岸砂漠  (3)不凍港 3. エルニーニョ・ラニーニャ現象 4. 補足:深層流(熱塩循環) 先ず、1. 海流の流れるしくみ、で 海流の流れる向きと性質をイメージできるようになりましょう。 そして、2. 海流と気候、では、海流が気候に与える影響の事例として 西岸気候・東岸気候、海岸砂漠、不凍港という3つを説明します。 3. エルニーニョ現象・ラニーニャ現象 とは、 海流に異常が生じている現象です。 最後に、補足として、深層流(熱塩循環)というものを紹介します。 1.海流のしくみ では、早速海流のしくみを見ていきましょう。 海流で大切なポイントは、「流れの向き」と「寒流・暖流の区別」なのですが、たくさんある海流の一つ一つを覚える必要はありません。 覚えることは一つだけ、 「海流は風に吹かれて回っている」です。 お味噌汁の表面にふーっと息を吹きかけると味噌汁の流れが見えるように、海の水は風、具体的には貿易風や偏西風に吹かれるように流れています。 単純な図で考えてみましょう。 大陸が二つあって、真ん中に海があります。 この海が、現実には太平洋や大西洋だと思ってください。 ここに、赤道付近では東から貿易風が、高緯度では西から偏西風が吹いています。 この風に流されるようにして、 海流は、赤道近くでは東から西へ流れて、大陸にぶつかると南北に分かれ、緯度が高くなると、偏西風に吹かれて東へ流れます。 そして、東側の大陸にぶつかると低緯度側に戻ってくることで、 ぐるっと一周してきます。 こうして、海流には北半球では時計回り、南半球では反時計回り、 という海の循環が生まれます。 これに、暖流、寒流の区別を加えてみます。 「暖流」というのは、暖かいところから冷たいところに行く流れ、 つまり、緯度の低いところから高いところに流れる海流で、 この左側の赤く塗った海流が暖流に該当します。 暖流には、暖房のように大気を暖める効果があります。 「寒流」とは逆に、高緯度から低緯度に流れる海流のことで、 冷房のように、大気を冷やす効果があります。 右側の青く塗った海流が寒流です。 「暖流」「寒流」とは、特に何度以上と温度が決まっているわけではなく、あくまで、周りの海と比べて相対的に暖かいか冷たいかというものなので、横向きの海流は、特にどっちが暖流、寒流と意識する必要はありません。 もちろん、現実にはもっと複雑な力が働いているのですが、 基本の流れとしては、このグルグル回るモデルをイメージすれば十分です。 では、実際の世界の海流を見てみましょう。 先ずは太平洋。 赤道付近には、貿易風によって東から西に北赤道海流と南赤道海流が流れています。 インドネシアあたりでぶつかると、暖流として南北に分かれます。 こうして日本にやってくる暖流は、黒潮、もしくは日本海流と言います。 その後偏西風に吹かれて北太平洋海流という名前で東に流れ、北米大陸の西側にぶつかって、 寒流として南下してきます。この寒流をカリフォルニア海流と言います。 これでぐるっと一周したのですが、太平洋では北にももう一つ小さな循環が生まれて、 こんな風に全体としては八の字になっています。 この八の字の上の部分で日本にやってくる寒流が、親潮、あるいは千島海流と呼ばれます。 南半球はもっと単純で、オーストラリアの東を暖流が通ったあと、 西風海流という南極近くの海流と合流して、南米大陸を寒流として北上します。この寒流をペルー海流、あるいはフンボルト海流と言います。 なお、北赤道海流と南赤道海流の間には、赤道反流といって、逆向きに西から東への海流も流れています。これは「傾斜流」と呼ばれる海流の一つで、貿易風と赤道海流によって赤道付近では東側より西側の海水面が盛り上がって高くなることから、すべり台を降りるように、高いところから低いところへ流れようとして生じる海流です。 続いてインド洋。 北半球の海流は季節風の影響により複雑で、 ここの海流を問われることはほぼ無いので、南半球だけ考えてみます。 ここも太平洋と同じように、南赤道海流がアフリカ大陸にぶつかって南下して、 西風海流と合流して、 オーストラリアの西を寒流として北上してくることで、一周します。 最後は大西洋。 北赤道海流は南米大陸にぶつかって北上し、 メキシコ湾流と呼ばれる暖流として大陸の形に沿うようにして方向を変えて、今度は北大西洋海流と名前を変えて、スカンジナヴィア半島の付け根まで流れていきます。 ここに、アフリカ大陸の西側をとおるカナリア海流と、 グリーンランドの西側をとおるラブラドル海流という寒流が加わって、 大西洋も北半球では八の字を描くような循環になります。 南半球はぐるっと一周するだけですが、 アフリカ大陸西側のベンゲラ海流という寒流の名前は覚えておきましょう。 2.海流と気候 では、この海流が気候に与える影響をみていきましょう。 (1)西岸気候と東岸気候 先ずは、西岸気候と東岸気候です。 大陸の西側と東側の気候の違いを指し、 ユーラシア大陸の北緯50度~60度のあたりで最も顕著に現れます。 大陸西側には、北大西洋海流という暖流が流れており、 さらにその上を一年中偏西風が吹いているため、 暖かい空気が海からやってきます。 そのため大陸西岸は、冬でもそれほど気温が下がらず、 年較差の小さい気候になるという特徴があります。 このような気候が「西岸気候」です。 一方で、大陸東岸では、冬には大陸からの 冷たく乾燥した季節風が吹いてくるので、 冬の寒さが厳しく、年較差の大きい気候となります。 このような気候が「東岸気候」と呼ばれます。 実際の雨温図を見てみましょう。 ユーラシア大陸の西側に位置するアイルランドの首都ダブリンは、 北海道よりも緯度が高いにもかかわらず、 一番寒い月で5度くらいまでしか気温が下がりません。 しかし、同じくらいの緯度で東側に位置するロシアのハバロフスクでは、 冬の気温が-20度くらいまで下がり、降水量が少なくなっています。 ユーラシアだけでなく、北米大陸でもこのような傾向は見られますが、 西岸、東岸の差がよりはっきり見られるのはユーラシア大陸です。 (2)海岸砂漠 影響の二つ目は、「海岸砂漠」、 寒流によって中~低緯度地域の海岸部に形成される砂漠です。 断面図で考えてみましょう。 沿岸に寒流が流れる中~低緯度地域では、 内陸の空気は暖かいものの、 寒流の影響で、海の上の空気が冷やされています。 その冷たい空気が偏西風によって陸地に入り込んでくると、 陸地近くの空気は冷たく、上空の空気が暖かい、という状態が生まれます。 冷たい空気は重たくて下に、暖かい空気は軽くて上に行くという性質があるので、 こうなってしまうと、もうこれ以上空気が動かない状態、 大気が安定した状態になってしまいます。 すると、上昇気流が生まれず、雲ができないため、雨が降りません。 こうして形成される砂漠が、海岸砂漠です。 具体例としては3箇所、寒流の名前とセットで覚えておきましょう。 ベンゲラ海流によって形成される、ナミブ砂漠。 ペルー海流(フンボルト海流)によって形成される、アタカマ砂漠。 そして、カリフォルニア海流によって形成される、カリフォルニア半島などです。 (3)不凍港 最後は、不凍港です。 通常、北極海にある港というのは、冬になると凍って使えなくなってしまうのですが、 ノルウェー西岸にある港は、暖流の北大西洋海流の影響で、冬でも凍らずに使えます。 このような港を「不凍港」と言います。 ここにあるナルヴィクなどが不凍港の代表例で、 お隣スウェーデンのキルナ鉄山で採れた鉄鉱石を冬に積み出す港としても利用されています。 3.エルニーニョ・ラニーニャ現象 続いては、海流に関係する異常気象として、 エルニーニョ現象・ラニーニャ現象というものを説明します。 太平洋ではこのように、貿易風によって東から西への海流が流れていました。 この断面図を見てください。 通常であれば、貿易風によって海面近くの暖かい海水が西へ運ばれるため、 南米側、具体的にはペルー沖合では、下から冷たい海水が湧き上がってきます。 この湧き上がってくる冷たい海水は「湧昇流」と呼ばれ、 イワシなどのエサとなるプランクトンを海の底から運んできてくれるため、 ペルーではイワシ(アンチョビー)漁が非常に盛んです。 しかし、何らかの原因で貿易風が弱まると、 暖かい海水が十分に西へ運ばれなくなります。 すると、冷たい湧昇流も弱まってしまうため、 ペルー沖では海水温が平年よりも異常に高くなります。 これが、エルニーニョ現象です。 エルニーニョ現象が起こると、湧昇流が弱くなり、 栄養分が深海から運ばれてこなくなるため、 エサが少なくなり、ペルー沖ではアンチョビーが獲れる量も減ってしまう、 ということが起こります。 また、エルニーニョ現象が起こると、 大気のバランスが崩れて、世界中で様々な異常気象が起こります。 例えば、日本は「冷夏・暖冬」になりやすいと言われています。 なぜかというと、暖かい海が西の方に運ばれてくる力が弱まるため、 太平洋の西側、日本の南の方ですね、ここの海水温度が例年よりも下がります。 そのため、夏に暖かい空気が入ってきにくくなり、冷夏の傾向となります。 冬には、通常であれば陸より海の方が暖かくなるために大陸からの季節風が吹きますが、 海水温度が例年よりも低いということは、陸と海との気温差が小さくなることを意味します。 このため、大陸からの冷たい空気がやってきにくくなり、暖冬の傾向になります。 これとは逆に、貿易風が何らかの原因で強くなると、 湧昇流も強くなり、ペルー沖合の海水温が異常に低くなります。 これが、ラニーニャ現象です。 補足.深層流と熱塩循環 さて、センター試験や共通テストではここまでの内容で充分なのですが、 私大の入試や二次試験では、これ以外の海流を問われることもあるので、 やや発展的な内容となりますが、補足説明をしたいと思います。 ここまで見てきたような海流は、 風が吹く力によって生じるため「吹走流(すいそうりゅう)」あるいは、 海面から数百メートル程度までの浅い部分で生じるため、表層流と呼ばれ、 表層流による海流の循環は、風成循環と呼ばれます。 これに対して、海のもっともっと深い部分での流れは「深層流」と呼ばれ、 風の力ではなく、海水の温度や塩分濃度によって循環が生じます。 暖流として北上する北大西洋海流は、グリーンランド付近まで北上すると、 海水温度が急激に低下します。 また、北上してくる過程で海水がたくさん蒸発するために、塩分濃度も濃くなります。 海水温の低下と塩分濃度の上昇、これによってグリーンランド付近では 海水の密度が大きくなって重たい水となり、 下に向かって海水が沈み込んでいきます。 こうして沈んだ重たい海水は、大西洋の底を這うようにしてゆっくりと南下し、 南極付近でも同じように冷たくなって沈んできた海流と合流して、 やがてインド洋や太平洋でまた湧き上がってくることで、表層流と合流します。 このような深い海での海水の循環を「熱塩循環」と呼びます。 熱塩循環は秒速1cm程度でゆっくり動き、 1周するのに1000年~2000年かかるのですが、 運んでいる海水の量やエネルギーはものすごく大きくて、 地球の気候に大きな影響を与えています。

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