真珠湾攻撃直前に結婚…そして孫・彬子さまへの想い 三笠宮百合子さま逝去【報道ステーション】(2024年11月15日)
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三笠宮妃百合子さまが老衰のため、皇族最高齢の101歳で逝去されました。 8年前に100歳で亡くなった三笠宮さまと、75年、連れ添った百合子さま。天皇陛下の大叔母で、上皇さまの叔母にあたり、長年、皇族を見守り続けてこられました。 ご遺体が安置された赤坂御用地には、上皇ご夫妻をはじめ、皇族が続々と弔問されました。 三笠宮さまは、昭和天皇の末の弟。その妻である百合子さまの人生は、戦前、戦中、戦後と激動した日本の近現代史と重なるものでもあります。 1923年、大正12年、旧華族のもとに生まれた百合子さま。1941年10月、18歳のときに三笠宮さまと結婚されました。 結婚祝いの晩餐会が開かれたのは、真珠湾攻撃の前日。昭和天皇から「やめたほうがよい」との意向が示されたものの、異変を察知されないよう、予定通り開催されました。 当時の日本が突き進み、多くの市民がその犠牲となった戦争。百合子さまは、戦火に直面した当事者でもありました。 戦争末期、B29による空襲で三笠宮邸は全焼。まだ1歳だった長女とご夫妻3人で、防空壕での生活となったのです。 戦争中、陸軍参謀として中国・南京に赴任し、日本軍の残虐行為を知っていたという三笠宮さま。ポツダム宣言の受諾にあたり、戦争継続を訴える青年将校と激論になっていたそうです。おととし刊行された三笠宮さまの伝記。百合子さまは「今にもピストルが飛び交うかと思うような緊迫した」状況だったと記憶されています。 結婚70年の際に三笠宮さまは、当時を、こう振り返られました。 三笠宮さま 「三笠宮家は、新しく創設されたために、経済的な基盤がなかったばかりでなく、空襲で邸が全焼したため、経済的な労苦は、ほかの宮家と比べてはるかに大きかった。それを支えてくれたのも妻であった」 伝記の編纂にあたり、百合子さまから11回にわたって聞き取りを行った舟橋正真さん。 政治経済研究所・舟橋正真研究員 「テープレコーダーをかけているように話されるというか、本当に物を書かれていたのかなと思うような語りぶりだった。三笠宮さまの生涯だけではなく、そこに見えてくるような当時の時代背景、さらには皇室の歴史・文化を資料として、歴史として残すんだと。結果的に多くの人々に広まっていけばという信念。それが百合子さまには伝記を編纂する、伝記を作っていくのにあった」 百合子さまは、戦後、三笠宮さまを支えるとともに、尽力されたのは、子どもと母親の健康を守る運動です。『母子愛育会』の総裁を60年以上務められました。 その一方で、母親としては、子どもを亡くす悲しみを相次いで経験されています。命日に営まれる『墓所祭』には、車いす姿で参列する姿が見られました。 三男の高円宮さまは、スカッシュの練習中に倒れ、47歳の若さで急逝。“ひげの殿下”として知られた長男・寛仁さまは、がんで闘病の末、66歳で亡くなられました。急性硬膜下血腫で倒れ、長年、車いすで公務を続けた次男の桂宮さまも10年前に亡くなられています。 3人の息子、全員に先立たれた三笠宮ご夫妻。悲しみの中にあっても、百合子さまは、気丈に振る舞われていました。 高齢の百合子さまに代わり、宮家の行事を取り仕切ってきたのが、孫の彬子さまです。彬子さまは、今月初めイギリスを訪問していましたが、百合子さまの容体悪化が伝えられると、予定を繰り上げ、帰国していました。 三笠宮さまの伝記の刊行委員長を務め、百合子さまから聞き取りを行ったのも彬子さまです。 政治経済研究所・舟橋正真研究員 「インタビューを通じて、妃殿下がおっしゃっているのが『ついつい話すぎてしまっているかもしれない』と、『彬子ちゃんが聞いてくれるので、ついつい話しちゃうの』と。『やっぱり彬子ちゃんにはいろいろ知ってもらいたいの』ということをおっしゃっていたことを記憶している。我々がいても、忘れてさまざまなことを話される姿からは、2人のなかでの絆・信頼感はなくしては、成り立たないのかなと思う」 脳梗塞や誤嚥性肺炎で、3月から入院していた百合子さま。 宮内庁皇室医務主管 「今週は、お声掛けに目を開けて、うなずかれる時間が減少しておりました。また徐々に心臓や腎臓の機能が低下されていると考えられました。病院には、これまでできるだけの手を尽くしていただきましたが、ご高齢ということもあり、本日早朝から血圧が低下され、6時32分にご薨去されました」 百合子さまは、三笠宮さまが99歳の白寿を迎えたころ、歌会始でこう詠まれていました。 「思ひきや白寿の君と共にありてかくも静けき日々送るとは」 葬儀にあたる『斂葬の儀』は、今月26日、東京・文京区の豊島岡墓地で行われます。喪主は、孫の彬子さまです。 [テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp