産まれた時から「カネミ油症被害者」中内孝一さん証言『食卓の肖像』

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http://shokutaku.ne.jp/ 2013年6月8日(土)~21日(金)大阪上映= シアターセブン。 笑顔が印象的だった。素朴で人の良い控えめな中内さんのトークに、会場は笑いがこぼれた。 カネミ油症の未認定被害者・中内孝一さんのトークショーの様子。 「今までは被害者集会などでは自分が出演した映画を観たことはあったが首都圏の大きなスクリーンで観ると、なんとも複雑で恥ずかしいが、同時に感謝している。」 と言う話題から始まり、パンフレットに掲載された大きな写真に喜んだりする素朴でまっすぐな人柄に会場は笑顔がこぼれた。 胎児性患者(未認定被害者)の長い長い闘い。本当の悲しみ・怒りを持っている人はこういう顔をするのだろうか。 お母さんの中内郁子さん(一世被害者)は、孝一さんを生むのに当たり、どれだけ悩み、苦しみ、苦渋の決断の果てに決心をしたか。『食卓の肖像』で語られている。 「全部をあきらめていた時に、支援センターからの呼びかけや『食卓の肖像』出演依頼があった。」 中内郁子さんは、身体に良いと宣伝していたカネミ油を食べただけである。それだけでなぜ、このような人生を歩まなければならないのか。孝一さんの静かな語りを訊いていた会場は憤りがゆっくり感染していった。(文責・辻豊史) 追記・金子サトシ監督からメッセージがありました。 「本当は、彼の場合、子どもの時からの様々な症状との闘いや、学校も中退して、いろいろと紆余曲折があったことなどの具体的な話があったら、より良かったかもしれません。」 「これは『食卓の肖像』でも、カットせざるを得なかった部分なのです・・。口唇口蓋裂で産まれたこと、飛行機に関わることだけを作品には入れられましたが、その部分は入れられなかったんです。しかし、本当は、中内孝一君についてなら、学校でいじめられたり、中退したりして、そこからどう立ち直って、今の彼に至っているのかということを語る必要があったのかも・・と思いました。」 東京上映は一時終了。4月6日(土)~5月3日(祝)東京・新宿K's cinemaでモーニングロードショーされました。待っていればまた自主上映など行われる予定です。 ---------------------------------------------- カネミ油症の被害者を追ったドキュメンタリー映画。 キネマ旬報 文化映画 ベスト・テン(2011年)。 製作年:2010年 上映時間:103分 製作・監督:金子サトシ 撮影:内野敏郎/金子サトシ/福本淳 整音:伊藤 裕規 スーパーバイザー:土屋豊/Our Planet-TV 協力:カネミ油症被害者支援センター/原田正純/保田行雄/古木武次/宿輪敏子/明石昇二郎/川名英之/河野裕昭/奥野安彦/高崎裕士/永尾喜美子/重本善十/渡部寛吾/中内弘治/福島瑞穂/阿部知子/辻豊史/堀傑ほか 証言者:真柄繁夫/真柄ミドリ/渡部道子/矢野忠義/矢野トヨコ/重本加名代/重本澄代/中内郁子/中内孝一/中内健二/公文喜久恵/矢口哲雄/高山美子 配給:『食卓の肖像』上映委員会/オムロ 宣伝プロデューサー 西田宣善 宣伝 辻野正樹 ==== 1968年に発覚した戦後最大の食品公害、カネミ油症。40年以上経った現在もその影響下に生きる人たち。 顔面などへの色素沈着や塩素挫瘡(クロルアクネ)など肌の異常、頭痛、肝機能障害などを引き起こした。また、被害者の母親から皮膚に色素が沈着した状態の赤ちゃんが産まれ、「黒い赤ちゃん」としてニュースで騒がれた。 福岡、長崎、広島、山口、佐賀など西日本一帯で発覚。福岡県北九州市にあるカネミ倉庫株式会社が販売していた食用油、カネミライスオイルを食したことが原因だと後に判り、翌年までに約1万4千人が保健所などに届け出た。健康被害は、当初思われていたより、ずっと甚大であり、ダイオキシン類による被害だったということは、しばらくしてから発覚した。 映画『食卓の肖像』では、告発だけでなくささやかに幸せに生きる被害者を見つめた。

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